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農家に眠る野菜たちがピクルスに大変身。宇都宮の魅力を子どもたちへ

食品ロスは家庭での食品廃棄、事業活動での食材の売れ残り、返品、規格外認定等によって引き起こされている。この問題は世界的に注目されており、国際連合の「SDGs – 持続可能な開発目標」にも取り上げられている。農林水産省の平成27年度推計によると、日本国内のみでも約646万トンもの食品が捨てられている。地元にどんなに栄養価が高く美味しい食材があっても、消費者に届く前に廃棄されてしまうことが多々ある。そのような問題に、食材の良さを保ちながら長期保存のきく形で消費者のもとに届けることができる「ピクルス」という形で切り込んでいるのが、Cooking&Glowの金原氏である。当インタビューではそんなCooking&Glowの変遷とこれからについてお伺いした。

子どもたちへのお料理教室を通して感じた「食」の可能性

―まず初めに創業当初の活動についてお伺いしたいのですが、どのような活動から始められたのでしょうか?

金原氏:小学生の子どもたちに料理を教えることをずっとやってきていて、今も毎月1回お料理教室をやっています。お料理教室は小学生の子どものみの参加で、親御さん方には参加を遠慮していただいています。親御さん方がいると子どもたちはどうしても甘えてしまったりするので、子どもたちと私たちだけのガチンコお料理教室という感じですね。ガチンコでやることで、子どもたちには「自分でできた!」という自己肯定感を育んでもらいたいと考えています。

―「ガチンコお料理教室」で子どもたちが夢中に取り組んでいる姿がイメージできます!お料理って作るのも楽しい上に、完成したものを食べる時にも明るい気持ちになりますよね。

金原氏: そうですね。「食」には暗い気持ちを吹き飛ばす力があると思っています。小学生の子どもたちの話を聞くと、学校終わりなどに一人でお家にいて、親御さん方がお仕事から帰ってくるのを待っている子が沢山いることがわかりました。一人で遅い時間まで待つのはお腹も減るだろうし、夕方になって暗くなってくると寂しい思いもするだろうなんて考えると、胸がいっぱいになりました。なんとかして私がその困っている子どもたちの力になれないかと思い、私がお母さん代わりのようなポジションとなりお弁当を作ることを考え始めました。そこで、アントレプレナーシップを宇都宮大学で半年間学び、ビジネスとして形にできないかを考えていたところ、とある方とのご縁がありました。そして、ありがたいことにその方から出資をして頂き、店舗を持ちながらお弁当の販売を始めることができました。

笑顔と思い出を届けるべく、お弁当を作り続けた毎日

―実際にお弁当屋さんではどのような商品の販売や活動をされていたのですか?

金原氏:最初の2年半ぐらいは塾の方へのお弁当販売を行いました。塾の方ってどうしても食生活や生活時間が不規則になってしまいがちで、栄養が偏った食事をされることや疲れた表情をされることが多いと感じておりました。その解決をすべく1日30個ほど塾用にお弁当を作っていました。その活動を通じ、ありがたいお言葉やお問い合わせなども沢山いただけるようになり本当にうれしかったです。そのあと徐々にやる内容が増えていき、1日200個くらいのお弁当を作ったり、食に関する講師業をやらせていただいたり、東武さんに惣菜をおろしたりといったことを行っていました。

―1日200個はすごい量ですよね。やはりその分大変だったことも多かったのではないでしょうか?

金原氏:そうですね。労働時間の課題は大きかったです。基本的にどんどん作ってどんどん売ってというモデルだったので、正直寝ないで仕事をしていた日々が続く事もありました。また、理想とお金のバランスをとるのが大変でした。旬な地元の美味しい野菜など、私が仕入れたい原材料をそのまま全部仕入れてしまと、リーズナブルに500円で販売するという目標額をゆうに超えてしまいました。そのため、赤字で運営が成り立たないという課題に直面したことなどもありました。

捨てられていく宇都宮自慢の野菜に胸が詰まる中でのピクルスとの出会い

株式会社Cooking&Glowによって作られたピクルス「宮ピクルス」

―時間や費用に制約がある中、皆さんに笑顔を届ける為にご尽力されていたことがとても伝わってきました。私もお弁当を頂きたくなってしまいました。

釡井氏: ありがとうございます。ただ実はお弁当販売はもうやめて、今は別の事業を行っています。お弁当販売を行っていて、宇都宮には栄養価が高く美味しい野菜が沢山あることがわかったと同時に、消費者のもとに届かない野菜も多くあることを知りました。形が悪いため食べられるのにも関わらず捨てられてしまったり、賞味期限が短く購入される前に廃棄されてしまったりするのです。私たちは地元のとてもおいしい野菜を消費者の方々に知っていただき召し上がっていただくために、野菜をお弁当でない別の方法で提供することが必要だと感じました。そこで色々模索していたところ、偶然農作物の加工場を継承させていただけるお話をいただきました。そこで、野菜を長期保存のきくピクルスという形に加工しての販売を始めました。

―もうお弁当を食べることができないのは残念ですが、ピクルスもとっても魅力的ですね!どのような商品を扱っていらっしゃるのですか?

釡井氏:野菜からフルーツのピクルスやチャツネなど、本当に色々な種類の商品を作っています。炊き込みご飯やちらし寿司にも合うピクルス、アイスやお酒に相性抜群ないちごのピクルスなどがあります。夏の疲れた日にピッタリの、さっぱりした梅を漬けたものもあったりします。チャツネは温かいご飯にかけるだけでなく、ドライカレーやスパゲッティーなどにも幅広く使えます。商品には地元宇都宮こだわりの野菜などを使っているため原材料費が高くついてしまいますが、なんとか販売価格を抑えるように頑張っています。広く皆さまに地元のおいしい商品を届けることができたらうれしいです。今では商品もこれだけ種類がありますが、ピクルスのレシピは最初から全てあったわけではないので色々苦労もしました。レシピ開発のため元々加工場を運営されていた方々に基本を教わったのち、納得いくものを創り上げるまで試行錯誤の日々を繰り返してアレンジしていきました。

様々なピクルスを扱うCooking&Glow今後の展望

株式会社Cooking&Glowの前にて本間、金原氏、 釡井氏3人が並んだ写真

―今後はどのような事業展開を考えていらっしゃるのでしょうか?

金原氏:今は主にアンテナショップやホームページで販売をしているのですが、その販路を増やしていきたいです。また、地元の農家さんの野菜にもっと付加価値をつけることができる販売方法を模索しています。宇都宮には本当に沢山の魅力的でおいしい農産物が眠っています。それらの流通していない商品が消費者の目にふれるためのお手伝いや、新しい形で商品化するような仕組みをつくり、今よりも多くの方へ届けていくことができたらと思っています。

―最後に、Cooking&Glowのビジョンをお聞かせください。

金原氏: はい、宇都宮の魅力をもっと広げていきたいと思っています。県外へもそうですが、まずは地元の子どもたちへ届けたいです。宇都宮には本当に沢山の魅力があり、その一つが農産物だと思っています。しかし、そんなステキな野菜が子どもたちの食卓へ届いておらず、魅力が伝わらないどころか、認知すらされていない場合もあります。子どもたちが宇都宮の美味しい野菜の存在を知り、将来大きくなってもよい思い出として残っている。そしていつか、そんな子どもたちが宇都宮をより盛り上げてくれるようになる。そんな未来を願って、一歩一歩頑張っていきたいと思います。