学会紹介

持続可能な未来を見据え最先端の科学技術を社会に提供する 日本マクロエンジニアリング学会

SDGs(持続可能な開発目標)といった地球規模での課題に対しては、産学官での連携が重要であると言われている。このようなマクロな課題に対して、サステイナビリティを見据えた活動を行うのは、日本マクロエンジニアリング学会である。この学会は、「持続可能な未来」の実現を目的として、学問分野を絞らずに学会活動を行っている。今回は理事長(2020年3月末迄)の角田晋也氏と、事務局長である迯目英正氏に、学会の活動内容について伺った。

学問分野を絞らずに「持続可能な未来」の実現に貢献する

(倉橋先生[東大生命科学研究科]と協力したバイオマスショアPJの社会実装の図)

―日本マクロエンジニアリング学会の位置づけを教えてください

角田氏:日本マクロエンジニアリング学会は、持続可能な未来を創造することを目的としている、多様な分野の研究者・技術者の集まりです。36年前、巨大事業にともなう問題を巨視的な観点から創造的に研究し、マクロエンジニアリングという総合的な知識分野を拓くとともに、それを人類の未来のために応用する活動を行うことを目的として設立されました。学会活動を通じて会員相互の交流と人材の育成をはかり、その構想の普及をめざしています。元外務大臣の大来佐武郎氏、 OECD 科学技術政策委員会議長(当時)の大島恵一氏、元東京大学総長茅誠司氏、日本学術会議会長(当時)の伏見康治氏、日本学士院(当時)の和達清夫氏らの肝煎りで創設されました。

―様々な学問分野で研究をされている方々が集まっているからこそ、難しい経験等も過去にあったのではないでしょうか?

角田氏:そうですね。所属会員の学術分野が異なるので、お互いの研究発表を聞いて、自分の研究に役に立つのかが不明瞭でした。実際に、他の研究者の話を聞いて、なんとか話にはついていけるが、自分の研究には役に立たないと感じることがありました。しかし、それはそれで、弊学会は「持続可能な未来」の実現に貢献することを目的としているため、他分野の研究者の発表でも、皆が互いに寄り添い、違う分野について様々な先生方が社会実装するためにはどうすればいいのかということを議論し、知恵を出し合っています。

―特定の学問分野を絞らずに活動をされていると伺いました。どのような想いを持って活動されているのでしょうか?

角田氏:それが「持続可能な未来を作る」という想いでした。日本マクロエンジニアリング学会は、最先端科学技術の社会的な実装を目指したのが発端です。社会実装を目指すと言っても、学術的な裏付けを持った上で社会実装を行いたいと考えています。

学問分野を跨いだ活動やNPO法人との協働

(研究大会での質疑応答時間の様子)

―具体的にどのような活動をされているのでしょうか?

角田氏:研究大会や査読論文刊行をそれぞれ年に二度行い、学会内で様々な学術研究をされている方々がお互いの研究の発表や論文に対して、質疑応答や議論をしています。また、毎年、一般向けにシンポジウムを開催しており、東京大学のホームカミングデイ等での開催も行ってきました。

―今後、行っていきたい活動等はございますか?

角田氏:今後はオンラインセミナーを行う予定です。また、NPO法人RIMEP(特定非営利活動法人 マクロエンジニアリング研究機構)との協働をより一層強め、学会内だけでの研究発表や議論だけに留まらず、学会外の方々と協働して、様々な活動をいたします。具体的には、他学会との連携が挙げられます。合同シンポジウムの開催や、会員の相互認証を考えています。

学会内に留まらず、社会実装を目指した産学連携を

(一般の方々を招いた講演会)

―社会実装を目的として、学会内に留まらず、今後どのような活動をお考えでしょうか?

角田氏:例えば自然エネルギーを用いた発電方式について、理論的な部分を詰めて実証を行う等の活動を検討しています。まずは、ベンチャー企業等との協働など、比較的小規模で行って検証していきたいですね。そういった、インキュベーションのような点ではNPO法人RIMEPとの協働を通して進める予定です。

―最後に、単発的な協働でなく、持続的な協働を通した取り組みを行う上で、NPO法人RIMEP(マクロエンジニアリング研究機構)の理事でもある迯目さんはどのようなことをお考えでしょうか?

迯目氏:何かを研究するあるいは事業化するという時は様々な人の支援・知恵が必要になります。弊学会は、企業のように全員が組織立って進める、ということは少ないですが、マクロエンジニアリング学会ですから、マクロな視点を持った、様々な人材を結集できます。学会はアカデミック肌が強いことから、できることに偏りもありますので、別動隊のNPO法人マクロエンジニアリング研究機構を通じ、社会実装を実現し、「持続可能な未来」に貢献できましたら幸いです。



<学会概要>
名称:日本マクロエンジニアリング学会
設立:1985年4月1日
HP :https://www.jame-society.jp/
Youtube:https://www.youtube.com/channel/UC9iZIIkhmdeXTXa-Xq93kwQ/featured
SNS:なし
設立趣旨:巨大事業にともなう問題を巨視的な観点から創造的に研究し、マクロエンジニアリングという総合的な知識分野を拓くとともに、それを人類の未来のために応用する活動を行うことを目的とし、その活動を通じて会員相互の交流と人材の育成をはかり、その構想の普及をめざす。